交響組曲第3番 「遊郭編」


前回の無限列車編を 交響組曲 第2番とし、「遊郭編」を第3番と致しました。
版権元の条件付きの許諾ということで、スコアやパート譜には「鬼滅の刃」の文言の
表記は控えるということ(登録商標のため今後も)正題のM№表記
(ジャスラックの申請時の表記と同様に)ということなりました。


編成について

前回の無限列車編の時と同様です。金管は原則2管となります。

木管 pic, Fl1-2, Ob, Bsn, E♭ Cl,B♭Cl1.2.3, ACl, BassCl, S.Sax, A.Sax, T.Sax, B.Sax

金管 TP1-2, Hr1-2, Tb1-2, Euph, Cbass, Tb

打楽器  3-5人前後を想定

今回もいくつかの重要なシーンに於いてピアノソロ、及びピアノが加えられております。

また、Tom-tomも入っている場合、
1人で奏でるよりも 複数の奏者と音色で奏でることをお薦めいたします。

17曲となりました。

  M17(遊郭編#1) ② M 7(遊郭編#2) ③ M10(遊郭編#2)④ M11(遊郭編#3)  

 ➄ M 9(遊郭編#4) ⑥ M13(遊郭編#5) ⑦ M 7(遊郭編#8) ⑧ M 1(遊郭編#9)  

 ⑨ M 6(遊郭編#10) ⑩ M 7(遊郭編#10)⑪ M 8(遊郭編#10) ⑫ M 9(遊郭編#10)

 ⑬ M 2(遊郭編#11) ⑭ M10(遊郭編#11) ⑮ M11(遊郭編#11)

 ⑯ M12(遊郭編#11) ⑰ M13(遊郭編#11)
You Tube Music(全曲視聴)



M17(遊郭編#1):42:05~ (購入はこちら) (¥770) (視聴はこちら)

第一話拡大版のエンドロールで使用された楽曲になります

M7(遊郭編#2):9:50~ (購入はこちら) (¥550) (視聴はこちら)

吉原遊郭。男と女の見栄と欲、愛憎うずまく夜の街。ここで暮らす遊女たちは
貧しさや借金等で売られてきた人がほとんどで多くの苦労を背負って生きているが、
衣食住は確保されており、出世できれば裕福な家に身請けされることもあります。
中でも「花魁」(おいらん)は別格であり、美貌・教養・芸事すべてを身につけている
特別な女性の地位で簡単に会うことができないので、逢瀬を果たすために競うように
足繫く通います。

「いやあー こりゃまた不細工な子たちだねー」

善子(ぜんこ)・炭子(すみこ)・猪子(いのこ)を見て思わずお店の亭主は驚愕します。
もう一度目をこすって見開くが、やっぱり残念な子たちに変わりません。

「やっぱりウチでは ちょっと・・・」
「そこを何とかお願いできないかねえ。おかみさんに仕込んでもらえれば
光ると思うんだけどなあ」
色目を使い、おかみさんを口説く、天元。

「悪いけど・・・・・んん???」
天元の美貌にウットリするおかみさん。(オチました)

「なあ。一人くらいなら いいけど」
「じゃあ、一人頼むわ。悪いなあ 奥さん 💛」
「じゃあ真中の子をもらおうかねえ。素直そうだし。」
「一所懸命働きます!!」 (炭子。就職決定!!)

そして 次の就職口を探しにくり出します。

「本当にダメだな お前らは!!二束三文でしか売れないじゃないか」
「俺はあなたとは口聞かないんで。」
「女装されたから キレてんのか? 何でも言うこと聞くって言っただろうが!!」
「女装なんかどうでもいいんじゃ このボケがあ。お前のツラだよ!
普通に男前じゃねえか!ふざけんなよー!」

善子の激しい嫉妬心が後日、爆発します。


③M10(遊郭編#2)10:14~ (購入はこちら) (¥770) (視聴はこちら)

そして翌日。場所は売れっ子の蕨姫花魁(わらびひめ おいらん)が在籍している京極屋。
支度部屋の奥では三人の見習い娘が三味線の稽古に励んでいます。
真中にはただならぬ精気を発して、ガシガシ弾く善子の姿が・・・

「あの姫(こ)、三味線上手いわね」
「そうね。凄い迫力。最近入った姫?」
「耳がいいみたいよ。一回聞いたら三味線でも琴でも弾けちゃうらしいわ」
「でも不細工よね。よく入れたわよね。お店に。」
「あの姫連れて来たのがものスゴくいい男だったらしいわよ」

(中略)

「やり手ババアがポッとなっちゃってさあ」
「あたいには分かるよ。あの姫は伸し上がるねえ。自分を捨てた男、見返してやろうっていう
気概(きがい)を感じる。そういう姫は強いんだよ。」

「便所掃除でも何でもイイんで貰って下さいよ。いっそタダでもいいんで。こんなのは」
(笑顔で善子の頭をペンペンと叩く天元)

「見返してやる!!あの男!!
アタイ 絶対 遊郭一の花魁になるーーーー!!」(←この時点で目的を見失う善子)


     
*なれません


M11(遊郭編#3)12:06~
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炭次郎が潜入する二日前 京極屋での出来事


「いい加減にしてちょうだい!!」
蕨姫花魁を座らせて詰め寄る 女将のおみつ。

「何を?」
「怪我人や足抜け。自殺する姫。あんたが殺したようなもんだろ」
「酷い事言うわね。女将さん。私の味方をしてくれないの?」
「今まで随分目を瞑って(つむって)きたけど、度を越しているんだよアンタは。
庇い(かばい)きれない」
「誰のせいでこの店が大きくなったと思ってるんだこの婆(ババア)!」
首を右に傾けると上目遣いに女将を睨む(にらむ)
(中略)
遊郭の界隈で語り継げられてきた経緯(いきさつ)を告げる

「もしかしてアンタ人間じゃあ・・・」
続きの言葉を発する瞬間に長く細い帯が変形し、女将を宙に吊り上げる

「そういうことはね。気付いた所で黙っておくのが、賢い生き方というもんなんだよ。
今までみんなそうして生きてきた。
お前は私が思っていたより ずっと ずっと頭が悪かったようだねえ。 残念だよ。おみつ。」
左の瞳には「上弦」、右の瞳には「陸」の文字が刻まれている

「そんなに怯えなくとも大丈夫さ。干からびた年寄りの肉はマズいんだよ。
醜悪で汚いモノを私は絶対に食べたりしない。さようなら。お・み・つ」

締め上げた帯がスルりと外れ、堕姫(だき)は屋根上を歩きだす。


➄M9(遊郭編#4)13:26~ (購入はこちら) (¥550) (視聴はこちら)

それぞれの就職先で仕事をこなしつつ、定期連絡をいれてきたが、
善逸からの連絡が途絶える。
天元から「ここから出て行け!お前らじゃ、階級が低すぎる。」と告げられる。
夜になったら伊之助のいる荻本屋へ行くと約束した炭次郎も来ず、
悶々としてしまう。もう限界だ。
「俺はもう動き出す!猪突猛進をこの胸に!」と天井を突き破り、屋根裏で叫ぶ。

「ネズミども 刀だ!!」
「ムキっ!ムキっ!」
と伊之助に勝るとも劣らない体付きをした2匹のネズミが、刀を持ってきます。

「アイツ。やるやつだぜ。ムキムキネズミなんていう下辺(しもべ)を用意しているなんてよォ。
俺も忍術使いてえ! 行くぜ鬼退治 !猪突猛進!」

⑥M13(遊郭編#5)20:08~ 
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ドゴォーーン。

上弦の陸、堕姫(だき)が食糧庫として帯で包まれている地下に、雷が落ちたような音が鳴り響いた。
ムキムキネズミのおかげで刀が用意された善逸が、雷の呼吸で帯を絡め取る。
更に天井が吹き飛び地上から風が吹き込む。誰かが入って来たようだ。
煙の中から蚯蚓(ミミズ)帯を一気に微塵切りをした天元が登場。

「まきを、須磨。遅れて悪かったなあ。」
天元を見た妻のまきを。走馬灯のように過去の記憶が蘇る。

「お前らは自分の命の事だけ考えろ。他の何を於いても まずは俺の所へ戻れ。任務遂行より命。
こんな生業で言ってることがちぐはぐになるが、問題ない。俺が許す」
両手の人差し指を立てて三人を指差す。

「俺は派手にハッキリと命の順序を決めている。まず、お前ら三人。次にカタギの人間たち。そして俺だ」
「鬼殺隊である以上、当然、のほほんと地味に生きている一般人も守るが、派手にぶっちゃけると、
俺、お前らの方が大事。だから 死ぬなよ」と。

(自分の命を優先してたら、 大した仕事できないけど・・。それでいいの?)
宇随の大きな手が、まきを、ひな鶴の頭をポンポンと優しく叩く。 泣き虫の須磨が天元の腕に絡みつく。

「派手にやっていたようだな。さすがは俺の女房だ よっしーーこっからはド派手に行くぜ!」

ここでもちょっと遅れましたが、「自分たちを助けに、守りに来てくれた天元」と「生きてくれてありがとう。」の
お互いを想う気持ちが、感謝のメロディーによって奏でられています。


⑦M7(遊郭編#8)12:50~ (購入はこちら) (¥770) (視聴はこちら

物語は後半戦。善逸・伊之助VS堕姫、炭次郎・天元VS妓夫太郎の流れに。
この戦いは二つの鬼の首を同時に切ることで、終止符を打てることに気付く。

「長い夜はいつも私たちに味方するから。どいつもこいつも死になさいよ!」と無数の帯が襲撃する。
しかし ここで 足を踏み込んでいた善逸が「霹靂一閃」を繰り出し、堕姫は屋根の上へ放り上げられる。(中略)

「俺は君に言いたいことがある。耳を引っ張って怪我をさせた子に謝れ!
たとえ君が稼いだ金で衣食住を与えていたとしても、あの子たちは君の所有物じゃない。
何をしても許されるわけじゃない」

「この街じゃ女は商品なのよ。モノと同じ。売ったり買ったり壊されたり、持ち主が好きにしていいのよ。
不細工は飯を食う資格ないわ。何もできない奴は人間扱いしない。(中略)
「人にされていやだったこと。苦しかったことを、人にやって返して取り立てる。自分が不幸だった分は
幸せな奴から取り立てねぇと取り返せねえ。それが俺たちの生き方だからなあ」

堕姫の声にやがて妓夫太郎の声が重なり、空気が重たくなっていく。


⑧M1(遊郭編#9)4:50~  
(購入はこちら) (¥220) (視聴はこちら) 

(お願い。効いて)

雛鶴(ひなつる)の屋根の上から放ったクナイ(藤の花から抽出した毒が塗られている)の一本が、
妓夫太郎に頸に刺さる。これにより部位の再生を遅らせ、頸を取る作戦だ
願いと共に、回想シーンに頭を巡らす。


天元は嫁3人を連れて宇随家の墓の前でお花見をしている。
兄弟と殺し合い生き長らえていまい、これまでの過去を背負って生きてきた。
そんな自分に負い目を感じながらも、兄弟の分も派手に生きる覚悟を織り交ぜながら
宇随家代々墓の前で語りかける。桜が満開の時を過ぎ、無数の花びらが舞い降りていた。
そのうちの一枚が雛鶴の額につく。天元がそれを取る。

「天元さま 天元さま 私も私も!」
ちょっと構ってちゃんの、まきをも参戦。
「お前は自分で付けたんだろう」

「その花びら、もらってもいいですか?」
「構わねえが、花びらなんか そこら辺にいくらでも」
「その花びらがいいんです。」
雛鶴(ひなつる)は天元が差し出す花びらを、両手で優しく包み込み 瞳を閉じる。

「ありがとうございます。」

「天元さま私もーーー!!」
「そこら辺の拾えよ」
「天元さまのイジワルーー!!」

幸せがにじみ出る笑顔で。雛鶴(ひなつる)は二人を見つめる

*ピアノソロになります。

⑨M6(遊郭編#10)12:24~ (購入はこちら) (¥770) (視聴はこちら

伊之助、天元は動かず、善逸は瓦礫の中、ほぼ絶望の中を頭突きと同時に
毒の付いた雛鶴(ひなつる)が放ったクナイを刺してピンチをくぐり抜ける。

「切れろ 切れろ! 勝つ 必ず勝つ! 俺たちは」
渾身の一振りを妓夫太郎の頸に向ける。

「ちょっと ウソでしょ。そんなヤツに頸 斬られないでよ」
今度は兄のピンチ救うために、炭次郎目掛けて堕姫が帯を振りかざす。その時だ。
「コイツ、あの瓦礫から抜けやがった。どけ!不細工」
善逸が自ら 雷の呼吸を使い帯を切る

「アンタの技の速度は解っているのよ!何度も見てるからね。」
「霹靂一閃(へきれきいっせん)、神速(しんそく)!」
「マズい。帯が切れかかっている。コイツがこれ程早く動けるとは」
ビリビリと少しづつではあるが帯が破れていく

「切れろ!切れろ。振り抜け。霹靂の神速は2回までしか使えない。足がダメになる。
瓦礫から抜け出す時に1回使い、もう後がない。(中略)」
一方、もう少しで妓夫太郎の頸が切れるという所ではあったが、クナイを引き抜き再生する。


⑩M7(遊郭編#10)14:29~ 
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「攻撃の速度が上がる。毒を分解してる。諦めるな 諦めるな!」
再び 絶体絶命の危機が訪れる。妓夫太郎の鎌(かま)が炭次郎の目に突き刺さろうとする瞬間だ。

ドドォーーン。爆音と共に妓夫太郎が吹き飛ばされる
「死んでない。死んでなかったコイツ。毒が回る前に筋肉で無理やり心臓を止めてやがったなあ!
そうすれば一時的に毒の巡りも遅らせることも出来る。」

やがて妓夫太郎の前に天元が立ちはだかる。片腕をすでに失っているが、
腕の替わりに太刀を口に咥えている。

「譜面が完成した!勝ちに行くぞ!!」と、派手に刀を振り回す
「読めてんだよぉ!テメェの汚ねえ唄はよ!」

*「譜面」とは天元独自の戦闘計算式で、敵の攻撃動作を音に変換、
律動を読み、その隙間に攻撃を入れていく。(中略)

「俺の円斬旋回(えんざんせんかい)(血鬼術)をすべてはじいた。譜面?だと。
コイツ 腕一本しかねえんだぞ!」
しかし相手の攻撃を交わすまでで中々頸まで届かず、炭次郎は二人の一騎打ちを追い続けて行く。


⑪M8(遊郭編#10)16:43~ (購入はこちら) (¥770) (視聴はこちら)

「凄い。互角だ。でもそれじゃ勝てない。宇随さんの方に先に限界が来る。その前にやらなければ。
俺が切るんだ!頸を!」
振り下ろした鎌(かま)が天元の左目を、突き腹に突き刺さる。

「止まるな!飛べ!!!」
「遅いんだよ。のろま!どれだけお膳立てされてもダメなヤツはダメなんだよ。毒で死ぬんだ」
炭次郎の顎を、鎌が下から刺し貫いてしまう。

「切る。頸を切る。諦めない。絶対に切る。」
折れていない三本の指に、渾身の力を籠める。

「コイツまだ刀を振りやがる。バカが。さっきだって俺の頸を切れなかったクセになあ」
「腕の力だけじゃダメだ。全身の力で斬るんだ。頭のテッペンからつま先まで使え!体中の痛みはすべて忘れろ。
渾身の一撃じゃ足らない。その百倍の力を!捻り出す!」
炭次郎の額に痣(アザ)が発現する。
「畜生。こんなガキに。マズイ。切られるぞ。いや大丈夫だ。俺の頸が斬られても、妹の頸が繋がっていりゃあ」
意識を妹に向ける。
「まずこっちを始末する!」

「クソォ もう力が。」
善逸の神速も限界に近づく。
「アンタがアタシの頸を切るよりも早く、私がアンの頸を細切れにしてやるわ!」
新な帯が善逸を切りにかかるが、背後に伊之助が現れる。

「何でよコイツ。お兄ちゃんが心臓を刺したのに」
「俺の体の柔らかさを見くびんじゃねえ!。内臓の位置をズラすなんてお茶の子さいさいだぜ!
険しい山で育った俺には毒も効かねえ」
伊之助は善逸の刀に重ね合わせ、帯が破れる(頸が切れていく)のを固定し手助けしていく。

「おにいちゃん。何とかして。お兄ちゃん!!」

「早く、円斬旋回(えんざんせんかい)を!」

そして 遂に 隙の糸(すきのいと)が現れる

⑫M9(遊郭編#10)20:58~ (購入はこちら) (¥770) (視聴はこちら)

「毒を・・。何とか・・呼吸で・・。少しでも毒が回るのを・・。遅らせ・・。」
宇随さんが何かを言っているがわからない。

「何か言ってる。頸、斬れてなかったですか?」
「逃げろ!!!!!」
最後にして最大の円斬旋回が、吉原の夜を包み込み 第10話のエンドロールへと繋がる。


⑬M2(遊郭編#11) 1:59~ 10:54~ (購入はこちら) (¥220) (視聴はこちら)

炭次郎の意識が戻る。見開くと幼子のような瞳をした禰豆子が、心配そうに見守ってくれている。

「禰豆子・・・。」
周囲を見渡すと既に建物は倒壊して瓦礫と化している。
「ひどい。めちゃくちゃだ。」
猫のようにニコニコとすり寄ってくる。撫でてほしいのと言っているようです。

「禰豆子が助けてくれたのか。ありがとう。他のみんなは!」
立ち上がろうとするが、膝に力が入らない。
「体が動かない。いやそもそも、何で俺は体が動けるんだ。何で俺は生きている。毒を喰らったのに・・。」
その時、遠くから助けを呼ぶ善逸が声が聞こえる・・。
スクっと禰豆子が立ち上がり、炭次郎を抱えると、善逸の声が聞こえる方へ走っていく。

「伊之助の心臓の音がどんどん弱くなっていくよ!」

(中略)

禰豆子の血気術「爆血」で伊之助と天元の体を侵している毒を燃やすと、今度は2つの鬼の頸を探しにいく。
鬼の匂いする方向へ、炭次郎が誘導する。遠くの方からお互いを罵り合う声が聞こえてきた。

「お前なんか生まれてこなけりゃ・・」
「嘘だよ。そんなこと思ってないよ。全部嘘だよ。仲良くしよう。この世でたった二人の兄弟なんだから」
妹を罵倒する兄の口を塞ぐ
「君たちのしてきた事は誰も許してくれない。殺してきたたくさんの人たちに恨まれ、憎まれて罵倒される。
味方してくれる人なんていない。だからせめて二人だけは。
「うわあああん。うるさいんだよお前は!!あたし達に説教するんじゃないわよ。クソガキが!
向こう行け。何処か行け!悔しいよおおお。
何とかしてよ。お兄ちゃん。死にたくないよぉ。おにいちゃん!!おにい・・・・。」
顔がどんどんと崩れて塵となっていく、最期の声を耳にする兄。
「梅!うめ!」

「そうだ。俺の妹の名前は「梅」(うめ)だった。堕姫(だき)じゃねえ。ひどい名前だ」

⑭M10(遊郭編#11)17:10~ (購入はこちら) (¥770) (視聴はこちら)

子供なんて生きているだけで、飯代がかかるので迷惑千万。
お前の名前は死んだ母親の病名から付けられたんだからなあ
「羅生門河岸」-遊郭の最下層で生まれた俺たち。
生まれてからも何度も殺されそうになり、それでも俺は生き延びた。
(中略)
俺の中で何かが変わり始めたのが、梅が生まれた時だった。
年端(としは)もいかない頃から、大人がたじろぐほど綺麗な顔をしていた。
俺は自分が喧嘩に強いと気付いて、取り立ての仕事を始めた。
誰もが気味悪がって俺を恐れた。
(中略)
お前のように美しい妹がいることは、俺の劣等感を吹き飛ばしてくれた。
これから俺たちの人生は、良い方へ加速していくような気がした。
梅が十三になるまでは。

客の侍の目玉をかんざしで突いて失明させたので、
その報復で梅は縛り上げられ生きたまま焼かれた。
(中略)
わああああああー   やめろやめろやめろーーーー俺から取り立てるな!!
何も与えなかったくせに取り立てやがるのか!!
許さねえ!許さねえ! 元に戻せ!俺の妹!!でなけりゃ神も仏もみんな殺してやる!」
背中に衝撃が走る。背後から男の声。

「こいつで間違いないか。」
「はい。そうでございます。」
「感謝いたします。厄介払いが出来て良かった。本当に凶暴でねえ。
取り立て先で大怪我させたり、最近では歯止めが効かなくて。」
(中略)
侍がトドメを刺そうとするも、鎌も持ち飛び跳ねて女将の喉笛を斯き切る。
「お前、いい着物だなあ。清潔で肌つやもいい。きれいな布団で寝てんだなあ。
生まれた時からそうなんだろう。雨風凌げる家で暮らして。いいなあ」

侍が刀を振りかざして襲いかかってくる。
「そんなヤツが目玉一個失くしたくらいで、ギャーギャーピーピーと 騒ぐんじゃねえ。」
振り上げた鎌が侍の顔を真っ二つに裂いた。

「いつも通りの、俺たちの日常。どんな時だってすべてが俺たちに対して、容赦はしなかった。
どうしてだ、”禍福(かふく)は糾(あざな)える縄(なわ)の如(ごと)し”だろ?
イイ事も悪い事も代わる代わる来いよ。俺たちはずっと・・・」

その時だ!

「どうした。どうした。かわいそうに。」
見たこともない若い男が、人間の腕と頭を抱えている。
(中略)
「お前たちに血を与えてやるよ。二人ともだ。あの方に選ばれれば、鬼となれる。
命というものは尊いものだ。大切にしなければ。」
「鬼となったことに後悔はねえ。何度生まれ変わっても、必ず鬼になる。
幸せそうな他人を許さない。必ず奪って取り立てる、妓太郎になる。」


⑮M11(遊郭編#11) 20:14~ (購入はこちら) (¥550) (視聴はこちら)

「ただ、もし唯一 心残りがあるとするならば。
梅。お前は俺と違ったんじゃないかってっことだ。」
「もっといい店にいたなら、まっとうな花魁に。普通の親元に生まれていたなら普通の娘に。
良家に生まれていたなら上品な娘に、なっていたんじゃないか。
染まりやすい、素直な性格のお前だ。俺が育てたためにお前はこうなっただけで。
奪われる前に奪え、取り立てろ!と教えたから、お前は侍の目玉を突いたが
従順にしていれば、何か違う道があったかもしれない。

俺の唯一の心残りは---お前だったなあ。」


⑯M12(遊郭編#11) 23:00~ (購入はこちら) (¥770) (視聴はこちら)

妓太郎は暗闇の中にいた。

「なんだあ、ここは、地獄か?」
「お兄ちゃん!いやだ。ここ嫌い。何処なの?出たいよ。何とかして!」
「お前、その姿・・。」
妹は鬼の姿から、人間の姿に戻っていた。

「そっちが出口?」
「お前はもう、俺についてくんじゃねえ。」
「さっきのこと怒ったの?謝るから許してよ。
お兄ちゃんのこと、醜いなんて思ってないよォ!悔しかったの。負けて悔しかったの。
アタシのせいで負けたって認めたくなかったの!
ごめんなさい。上手く立ち回れなくて。アタシがちゃんと役に立ってたら、負けなかったのに。
いつも足引っ張ってごめんなさい。」

妓太郎は振り返らない

「お前はもう、兄弟でも何でもない。俺はこっちに行くから。お前は反対の明るい方へ行け!」
「いやだ!いやだ!。離れない!絶対に離れないから!ずっと一緒にいるんだから。
何回生まれ変わっても、アタシはお兄ちゃんの妹になる。絶対に!」
背中に飛びついてよじ登ってきた。腕を回し首にしがみつく。

アタシを嫌わないで!
叱らないで!
一人にしないで。
置いてったら許さないわよ。!
ずっと一緒にいるんだもん!ひどいひどい!約束したの覚えてないの!」

雪が降っていた。二人で藁のむしろにくるまって寒さを凌いでいた時のことを。
梅を両手で抱きしめ言った。

「俺たちは二人なら最強だ。寒いのも腹ペコなのも、全然へっちゃら。約束する。
ずっと一緒だ。絶対に離れない。ほら、もう、怖くないだろ?」

思い出した。二人とも幼かった、あの日のことを。

灼熱の火が燃え盛る地獄への道を真っすぐに。
二人分の重ね続けた罪の重さを背負って、その罪を浄化するために。ゆっくりと突き進んだ。

「仲直り出来たかなぁ あのふたり。」
炭次郎と禰豆子はお互いの両手の中で、妓太郎の最期を見届けた。


⑰M13(遊郭編#11)25:25~ (購入はこちら) (¥770) (視聴はこちら)

「ふぅん、そうか。陸(ろく)ね。一番下だ。上弦の」
宇随と三人の妻を見下ろす若い男が立っている。
鬼殺隊の隊服に白黒の縞模様の羽織姿。首には白い蛇を巻いている。

「陸とは言え上弦を倒したわけだ。実にめでたいことだ。陸だがなあ。褒めてやってもいい。」
「いや、お前に褒められても・・・。」
その男は、蛇柱(へびばしら)、伊黒小芭内(いぐろおばない)。ネチネチと偉そうに上から目線だ。

「随分遅かったですね。
「そうですよ!!そもそも来るのがおっそいの!!」
(シャーーー)巻き付いた白蛇が二人を威嚇する。

「左手と左目を失ってどうするつもりだ、たかが上弦との闘いで。復帰までどれくらいかかる。
その間の穴埋めは誰がするんだ。」
「俺は引退する。流石にもう戦えねえよ。お館さまも許してくれるだろう。」
宇随はふと笑みをこぼして、そっと瞳を閉じる。

「ふざけるな。俺は許さない。タダでさえ、若手が育たず死に過ぎるから、煉獄が抜けた後、空席なまま。
お前程度もいないよりはマシだ。死ぬまで戦え!」
「イイや。若手は育ってるぜ。お前の大嫌いな若手が。」

宇随はもう一度、含みのある言い回しをする。伊黒が黙り込むがハッとなり呟く。
「竈門炭次郎が・・。」と

そしてお館さまの屋敷には早速、伝令が伝わる。
「そうか。倒したか。上弦を!」
病床に臥せていたが、身を乗り出して鬼を倒した剣士たちの名を呼び、咳き込んだ。

「百年、百年もの間 変わらなかった状況が、今 変わった!
これは”兆し”だ!運命が大きく変わり始まる!
この波紋は広がっていくだろう。周囲を巻き込んで大きく揺らし、やがてあの男の元へ届く。
鬼無辻無残!お前は必ず私たちが、私たちの代で倒す!!我が一族の唯一の汚点であるおまえは・・・」
そう言いかけるとまた激しく咳込む。

「父上!」
「父上!」
「お前たち、湯を沸かしなさい!それから薬と手ぬぐいを!」
あまねの指示に子供たちも散っていく


その頃、異空間、無限城ではー

この空間を操っている鬼の鳴女(なきめ)が琵琶の音を響かせている。
(ここに呼ばれたということは・・・・。)
上弦の参の鬼・猗窩座の意識が、あることに合致する。

(上弦が鬼狩りにやられた?!)

この音色は、上弦集結の合図だった。


交響組曲第4番・刀鍛冶の里編のリリースが決まりましたら後日、このページでお知らせ致します。


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